瀬尾まいこさん【おすすめ小説】『夏の体温』人との出会いは奇蹟です！

人と関わることで主人公の成長の様子が描かれている作品です。

表題作の「夏の体温」については、

主人公の瑛介えいすけくん（小３）は、血液の病気で入院を余儀なくされます。

病棟は短期入院の児童が集まるところ。

病状は経過観察中で、退院の目処はたっていません。

後から入院してくる子が、先に退院していく姿をイヤでも見せつけられます。

自分だけ取り残され、不安や苛立ちがつのる心理が、細かく描かれていました。

普段の生活が送れないうえ、退屈な入院生活のストレスは、相当なものだと想像できます。

また、それぞれの入院児に付き添う親御さんも、長期入院の彼に対してどのように接したらいいのか、戸惑います。

デリケートな問題で難しいですよね。

その気持ちに深く共感しました。

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そして鬱々とした入院生活を送っていた瑛介えいすけくんに朗報が舞い込みます。

同学年で陽気な少年（壮太そうたくん）が入院してきました！

彼は低身長の悩みを抱えていて、二泊三日の検査入院だそう。

壮太そうたくんはひょうきんものでムードメーカー。

二人はたちまち意気投合します。

彼は低身長をカバーするために、あることをしているとか･･･

とても前向きでパワーのある子だなという印象を持ちました。

彼との出会いは瑛介えいすけくんにとって奇跡的で、退屈な入院生活が、いっときでも華やぐ貴重な時間となったことでしょう。

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さらに、二人の不幸比べの会話も、面白いです。

人それぞれ悩みごとを抱えているもので、そのレベルも人それぞれ。

ポジティブな壮太そうたくんの意見を聞いていると、

瑛太えいたくんの抱えている苦しみは、あまり大した問題ではないのかも･･･なんて気持ちにさせられてしまうから不思議。

巧みな話術の持ち主で強者です。

彼は瑛介えいすけくんの病名を、平然とたずねてきますしね･･･

なかには、そうやってグイグイこられるのが、嫌いな人もいます。

しかし、瑛介くんの場合は抵抗がなかったようで、安心して心を開けたようです。

そういうところからも、二人の相性の良さを、うかがい知ることができますね。

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壮太そうたくんとお別れの日、離れがたい二人は、ぎりぎりまでベッタリな状態でした。

楽しかったからこそ辛い別れ。

胸が締め付けられました。

しかしその後、病院に残された瑛介えいすけくんへ、粋な計らいが･･･

あぁ、かゆいところに手が届く。よく見てるな壮太そうたくん･･･と感動。

入院は災難だったけれども、二人はそのお陰で出会えたのだから、結果的には良かったですね。

一生ものの友達になれるのではないかという予感がします。

この作品を通して、人との出会いは奇蹟だなと改めて実感しました。

幸せを感じ、読後は心がほかほかになるはず！

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他 二編のお話しも面白かったですよ！

同様にほっこりとしますので

心癒やされたい人には、特におすすめです！