

垣谷美雨さんのデビュー作!
全4編の短編小説が収録されています。
こんな人におすすめ!

①痛々しい人生を送っている女性たちのストーリーに共感できる人
②謎解き要素やドキドキする展開が好きな人
③力強く前を向いている女性たちに励まされたい人
この本は女性が主人公で、トラブルに巻き込まれながらも軽やかに生きるタフな女性たちが描かれています。この作品の結末は楽観的とはいえないものの、希望の光が見えると感じます。
全てのストーリーが女性を中心に描かれており、彼女たちの生活や心の内に共感できる部分があります。また、謎がちりばめられているため、どんどん引き込まれてしまい、一気に読み終えてしまう面白さもあります。
最後は、女性たちの強さや賢さに励まされると思いますよ。
著者のデビュー作ということで、初々しさを感じる作品です。
また、性の描写があるため、現在の著者のイメージとは異なるかもしれませんが、それも個性の一つだと思います。
全体として読み終えた後に満足感を得られる面白い本だと感じました。

では、あらすじと感想をご紹介していきます。
ぜひ最後までお楽しみください!
『竜巻ガール』あらすじ
父親の再婚相手の連れ子と同居することになった高校二年生の哲夫。
なんと義妹は同学年のガングロ娘だった!
その日から破天荒で過激な彼女に翻奔される日々が始まる・・・・・・。
第27回小説推理新人賞を受賞した表題作の他、浮気性で能天気な夫を捨てた母、川で溺れる男を置き去りにして逃げた愛人、一回り年下の中国人の夫の秘密を見つけ心乱す妻など、トラブルに巻き込まれても軽やかに生きる女性たちを描いたデビュー短編集。
解説・北上次郎
垣谷美雨(著)
『竜巻ガール』
双葉文庫より
『竜巻ガール』感想(ややネタバレ)

ここからは、内容に触れた感想をお伝えします。
ややネタバレOKな方や、
読後の感想を共有したい方はお付き合いくださいませ。

困難な現状に立ち向かう女性たちの奮闘
この作品は、全4編の短編小説で構成されており、どのお話もハッピーな結末ではありませんでした。
しかし、主人公たちは自分の現状を十分に自覚し、困難な状況におかれていることをしっかりと理解しています。
そのため読んでいてイライラせず共感できる部分もあります。
また主人公たちが内心で不満を漏らすシーンは、笑いがこみあげてくると同時に、彼女たちの奮闘にも感動しました。
このような女性たちのストーリーに触れることで励まされ、勇気をもらうことができました。
漫画のような心理描写があり没入感がある
内容が軽くないにもかかわらず、漫画のような心理描写があります。
そのおかげでコミカルな要素も含まれ、ストーリーに一層没入しやすかったです。
また読みやすい文体が特徴であるため、内容を理解しやすく、とても満足のいく読後感を味わえました。
自分自身について考えたり、自分の経験と重ね合わせたりすることで、心の奥深くに響くような感情的な体験をしました。
謎解き要素がありページをめくる手が止まらない面白さ
さまざまな謎が散りばめられており、私たち読者はそれを解明するために飽きることなくページをめくり続けることになるでしょう。
そしてストーリーの結末で、その謎が明らかになり、もやもや感が残りませんでした。
この謎解き要素は、私たち読者をひきつけるだけでなく、わくわく感を与えてくれました。
一つ一つの謎の解明が物語性を高め、さらにストーリー全体の魅力を引き立てていました。
第4編「渦潮ウーマン」
私が特に入り込んだ短編です。
ストーリーの中で、遊泳禁止の表示があるにもかかわらず、旅館の人が許可したり、不倫上司の奥さんが、不倫相手よりも綺麗で若いという謎の展開が続きます・・・
それぞれの出来事には後で説明があり、意味を持っていることが分かりました。
主人公は35歳のキャリアウーマン。
彼女は、会社の上司と不倫をしていて、旅行中でした。
露天風呂に一緒に入ったら、彼が隣にある川で泳ごうとして溺れてしまったという・・・。
そのあとの、彼女の冷静な判断力には感心しました。
少々利己的かもしれませんが、その理由やあとのことを考えると、妥当な選択だったと思います。
旅館の女将も印象的なキャラクターでした。
彼女もまた賢く、お客様の事情を理解しながら適切に対応していました。
その後に、明らかになる理由には驚きましたが、それがストーリーを盛り上げる要素でもあると思います。
ストーリーの展開や、登場人物の意外な一面も興味深かったです。
特に次期社長の淳也くんのエピソードは可愛らしく、彼の変化も面白かったです。
強い女性たちのストーリーで、読後感がすっきりとし、とても満足感のあるお話しでした。
『竜巻ガール』まとめ

この本を読んで得られたこと
①女性たちの強さや賢さに共感することで、自信がついたりモチベーションが上がったり、自分自身の生活に前向きな気持ちを持つことができる。
②コミカルな面や、謎解きの楽しさを体験することができるので、脳が刺激され気分がリフレッシュする。
③短編形式のため、手軽に読むことができるので、息抜きになり、心地良い満足感を得ることができる。
『竜巻ガール』は、女性たちの強さと成長を描いた魅力的なストーリーです。
彼女たちの賢さと頑強さから勇気をもらえます。
共通の経験をもつ女性たちにとっては特に共感を覚え、困難に立ち向かう勇気を得ることができるでしょう。
著者は、女性たちがどんな困難や逆境でも、自立し成長できるというポジティブなメッセージを届けていると思います。
女性たちの強さと成長をたたえ、私たち読者に勇気と希望を与えてくれる素晴らしい作品です。

女性のパワーを感じさせられるストーリーです。

ぜひ手にとってみてください。
おすすめです。
垣谷美雨さんのプロフィール
垣谷美雨 かきや・みう
1959年兵庫県生まれ。
明治大学文学部卒業。2005年「竜巻ガール」で、第27回小説推理新人賞を受賞し、デビュー。
誰もが直面する社会問題を、ユーモア溢れる筆致で描く作品が多い。
著書に『七十歳死亡法案、可決』『老後の資金がありません』『四十歳、未婚出産』『夫の墓には入りません』『姑の遺品整理は迷惑です』『うちの子が結婚しないので』『うちの父が運転をやめません』など多数。
垣谷美雨(著)
『竜巻ガール』
双葉文庫より
・さらに詳しく知りたい方はWikipediaでプロフィールをチェック!
垣谷美雨さんの代表作

垣谷美雨さんの作品は、社会問題をテーマにした小説が多いです。
親近感を抱かせ、明日は自分自身に関わると考えさせるような、
有益な作品が多いのが特徴です。

代表作のあらすじに加えて
Amazonプライムビデオ、Audibleに対応した商品に関しては、リンクを提供しておきますね。
垣谷美雨(著)『老後の資金がありません』
しっかり貯金して老後の備えは万全だったわが家に、突然金難がふりかかる! 後藤篤子は悩んでいた。娘が派手婚を予定しており、なんと600万円もかかるという。折も折、夫の父が亡くなり、葬式代と姑の生活費の負担が発生、さらには夫婦ともに職を失い、1200万円の老後資金はみるみる減ってゆく。家族の諸事情に振り回されつつもやりくりする篤子の奮闘は報われるのか?普通の主婦ががんばる傑作長編。
垣谷美雨(著)
『老後の資金がありません』
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垣谷美雨(著)『リセット』
ぼんやりした不安と不満を抱え、それでも平凡に暮らしていた三人の女性が、突然、高校時代にタイムスリップさせられてしまう。”未来の想い出”がリプレイされる毎日は、彼女たちの意識を少しずつ変えていく。そしていま、再び新しい人生へ! 人生は変えられるかもしれない……。 ※テレビドラマ『リセット ~本当のしあわせの見つけ方~』の原作本。 ※垣谷美雨原作の『結婚相手は抽選で』が2018年10月からテレビドラマ化! ドラマも原作本も必見です。
垣谷美雨(著)
『リセット』
双葉社
Amazon商品ページより
Amazonオーディオブック(Audible)会員聴き放題対象商品(2023年10月現在)
垣谷美雨(著)『あなたの人生、片づけます』
社内不倫に疲れた30代OL、妻に先立たれた老人、子供に見捨てられた資産家老女、ある一部屋だけを掃除する汚部屋主婦……。『部屋を片づけられない人間は、心に問題がある』と考えている片づけ屋・大庭十萬里は、原因を探りながら手助けをしていく。この本を読んだら、きっとあなたも断捨離したくなる!
垣谷美雨(著)
『あなたの、人生片づけます』
双葉社
Amazon商品ページより
垣谷美雨(著)『結婚相手は抽選で』
少子化対策のため「抽選見合い結婚法」が施行されることになった。
相手が気に入らない場合は断ることができるが、三回パスしたらテロ撲滅隊送りになる。
だが、この強制的な見合いに、モテないオタク青年は万々歳、田舎で母親と地味に暮らす看護師は、チャンスとばかりに単身東京へ。
慌てて恋人に結婚を迫るも、あっさりかわされてしまう女性もいて・・・・・・。
それぞれのお見合い事情をコミカルかつ、ハートウォーミングに描いた長編小説。
垣谷美雨(著)
『結婚相手は抽選で』
双葉文庫より
垣谷美雨(著)『うちの子が結婚しないので』
老後の準備を考え始めた千賀子は、ふと一人娘の将来が心配になる。 28歳独身、彼氏の気配なし。自分たち親の死後、娘こそ孤独な老後を送るんじゃ……? 不安を抱えた千賀子は、親同士が子供の代わりに見合いをする「親婚活」を知り参加することに。しかし嫁を家政婦扱いする年配の親、家の格の差で見下すセレブ親など、現実は厳しい。果たして娘の良縁は見つかるか。親婚活サバイバル小説!
垣谷美雨(著)
『うちの子が結婚しないので』
新潮社
Amazon商品ページより
『うちの子が結婚しないので』の感想記事も合わせてどうぞ!
垣谷美雨(著)『女たちの避難所』
九死に一生を得た福子は津波から助けた少年と、乳飲み子を抱えた遠乃は舅や義兄と、息子とはぐれたシングルマザーの渚は一人、避難所へ向かった。
だがそこは、“絆”を盾に段ボールの仕切りも使わせない監視社会。
男尊女卑が蔓延り、美しい遠乃は好奇の目の中、授乳もままならなかった。
やがて虐げられた女たちは静かに怒り、立ち上がる。
憤りで読む手が止まらぬ衝撃の震災小説。『避難所』改題。
垣谷美雨(著)
『女たちの避難所』
新潮社より
垣谷美雨(著)『四十歳、未婚出産』
四十歳目前での思わぬ妊娠に揺れる旅行代理店勤務の優子。これが子供を産む最初で最後のチャンスだけど……。お腹の子の父親であるイケメン部下、偏見のある田舎の母親、パワハラ上司、不妊治療に悩む同期、誰にも相談できない。シングルマザーでやっていけるのか? 仕事は? 悩む優子だったが、少しずつ味方が現れて気持ちは固まっていく。
垣谷美雨(著)
『四十歳、未婚出産』
幻冬舎
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垣谷美雨(著)『後悔病棟』
過去に戻れる聴診器」を使ってみたら…。
33歳の医師・早坂ルミ子は末期のがん患者を診ているが、「患者の気持ちがわからない女医」というレッテルを貼られ、悩んでいる。ある日、ルミ子は病院の中庭で不思議な聴診器を拾う。その聴診器を胸に当てると、患者の心の“後悔”が聞こえてくるのだ。
「過去に戻って、もう一度、人生をやり直したい」
聴診器の力を借りて、“もうひとつの人生”の扉を開けた患者たちが見たものは――!?
●dream――千木良小都子(33歳)
母は大女優。「芸能界デビュー」の夢を諦めきれなくて…●family――日向慶一(37歳)
俺はもうすぐ死ぬというのに、なぜ妻は金の話ばかりするのか。●marriage――雪村千登勢(76歳)
娘の幸せを奪ったのは私だ。結婚に反対したから、46歳の今も独り身で…●friend――八重樫光司(45歳)
中三の時の、爽子をめぐるあの“事件”。俺が罪をかぶるべきだった。この世の中の誰もが、「長生き」することを前提に生きている。
もしも、この歳で死ぬことを知っていたら…家族、結婚、夢、友情。
垣谷美雨(著)
女性から圧倒的な支持を受ける著者が描くヒューマン・ドラマ!!
『後悔病棟』
小学館
Amazon商品ページより
垣谷美雨(著)『あきらめません!』
結婚して三十数年。共働きかつワンオペ育児を卒業し、節約を重ねて住宅ローンも返済完了。定年退職を迎えた霧島郁子がやっと手に入れた夢のセカンドライフは、夫の田舎へ移住したことをきっかけに音を立てて崩れていく。閉鎖的な地域社会、染み付いた男尊女卑――時代遅れな現実を前に打ちのめされる郁子だったが、ある日出会った銀髪の女性議員・市川ミサオの強烈な後押しで、なぜか市議会議員に立候補することに……!? この土地で生まれ育った落合由香も巻き込み、ミサオ(80代)、郁子(60代)、由香(30代)は世代をこえて「私たち」を取り巻く問題に立ち向かう!
垣谷美雨(著)
『あきらめません!』
講談社
Amazon商品ページより
『あきらめません!』の感想記事も合わせてどうぞ!
垣谷美雨(著)『七十歳死亡法案、可決』
高齢者が国民の三割を超え、破綻寸前の日本政府は「七十歳死亡法案」を強行採決。施行まで二年、宝田東洋子は喜びを嚙み締めていた。我儘放題の義母の介護に追われた十五年間。能天気な夫、引きこもりの息子、無関心な娘とみな勝手ばかり。やっとお義母さんが死んでくれる。東洋子の心に黒いさざ波が立ち始めて……。すぐそこに迫る現実を描く衝撃作!
垣谷美雨(著)
『七十歳死亡法案、可決』
幻冬舎
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垣谷美雨(著)『夫の墓には入りません』
ある晩、夫が急死。これで嫁を卒業できると思いきや、舅姑や謎の女が思惑を抱えて次々押し寄せる。〝愛人〟への送金、墓問題、介護の重圧……がんじがらめな夏葉子の日々を変えたのは、意外な人物と姻族関係終了届!? 婚姻の枷に苦しむすべての人に贈る、人生逆転小説。『嫁をやめる日』を改題。〈解説・角田龍平〉
垣谷美雨(著)
『夫の墓には入りません』
中央公論新社
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『夫の墓には入りません』の感想記事も合わせてどうぞ!
垣谷美雨(著)『姑の遺品整理は、迷惑です』
姑が亡くなり、住んでいたマンションを処分することになった。業者に頼むと高くつくからと、嫁である望登子はなんとか自分で遺品整理をしようとするが、あまりの物の多さに立ちすくむばかり。「安物買いの銭失い」だった姑を恨めしく思いながら、仕方なく片づけを始める。夫も手伝うようになったが、さすが親子、彼も捨てられないタイプで、望登子の負担は増えるばかりである。誰もが経験するであろう、遺品整理をユーモアーとペーソス溢れる筆致で描く長編小説。
垣谷美雨(著)
『姑の遺品整理は、迷惑です』
双葉文庫
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Amazonオーディオブック(Audible)会員聴き放題対象商品です(2023年10月現在)
垣谷美雨(著)『うちの父が運転をやめません』
猪狩雅志は高齢ドライバー事故のニュースに目を向けた。78歳といえば親父と同じ歳だ。妻の歩美と話しているうちに心配になってきた。夏に息子の息吹と帰省した際、父親に運転をやめるよう説得を試みるが、あえなく不首尾に。通販の利用や都会暮らしのトライアル、様々な提案をするがいずれも失敗。そのうち、雅志自身も自分の将来が気になり出して……。父は運転をやめるのか。雅志の出した答えとは? 心温まる家族小説!
垣谷美雨(著)
『うちの父が運転をやめません』
KADOKAWA
Amazon商品ページ

ここまで読書好き主婦「ちみるのひとりごと」
におつきあいいただきありがとうございました。

また素敵な作品を見つけましたらお伝えしますね。
それではまたお会いしましょう!